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ヨーロッパの劇場(オペラ座)・コンサートホールのクローク事情

クロークルーム(cloakroom)とは劇場などにおける、手荷物一時預かり所のこと。

ドイツ、オーストリアなどではGarderobe(ガルダローブ)、イタリアではguardaroba

(ガルダローバ)とも呼ばれ、主たる劇場やコンサートホールにはたいてい1ヶ所以上、

1,000席以上となると、数ヶ所それも複数のフロアに設置されることも少なくない。

※以降、手荷物一時預かり所=クロークで統一

 

寒い冬の時期などは、厚手のウールや毛皮のコートを羽織り、劇場に到着。

クローク前で着脱ぎするわけですが、その下はゴージャス感たっぷりなドレスが

チラリと・・・!

まるで映画のワンシーンのようだけれども、いざ海外でオペラ鑑賞するときに、

意外に気になるのがこのクローク事情なのです。

 

 劇場(オペラ座)・コンサートホールのクロークって有料なの?
チップの習慣とか、いろいろと分からないことだらけ

 

原則、オペラ・コンサート鑑賞の際には、荷物は座席には持ち込まない

まず、男性。

私の記憶において、男性でバッグを客席に持ち込んでいる人はとても少ない。

内ポケットに必要なものは入れておき、両手はあけておく。

特に、ヨーロッパの社交場たるオペラ界では、女性をエスコートするためにも

片手が塞がっているのはあまりスマートではない。

女性にとっても、エスコートしてくれる男性の存在というのはとても大事で、

ドレスアップした姿をアピールするには、男性のエスコートは不可欠。

 

 

女性の鑑賞スタイル

女性の鑑賞スタイル

 

女性の場合は、小ぶりなバッグやポーチをアクセサリーのように

使いながらオシャレを楽しむといい。

ドレスと同系色のアイテムであれば統一感も保たれ華美になりすぎず

オシャレ度もアップする。

 

とはいえ、こうしたコーディネートは現地に住んでいる人達ならでは。

はるばる日本から訪ねて、オペラを鑑賞するとなれば、色々と細々したもの

(パスポートやお財布など貴重品全般、スマートフォン、折りたたみの傘など)

を持ち込みたいことってありますよね。

 

私の経験では、B5サイズが入るくらいのバッグなら、まず断られたことはありません。

A4サイズのバッグも、ギリギリセーフでしょうか。

ただ、背負うタイプのものや大きめのトートバッグとか、ゴチャゴチャと

装飾がついているバッグなどだと、

預けなさいと言われている人を見かけたことはあります。

(他にはガサガサ音が出るような紙袋や、ビニール袋なども周りの迷惑になるので

預けたほうが良いです)

 

特に、2015年のパリ同時多発テロ以降には、ヨーロッパでは

テロ行為が各所で続いていたこともあり、

そういったテロ行為防止のために、荷物チェックや持ち込みに際しての

ルールが厳しくなる傾向が続いています。

 

有料か、無料か、チップの習慣は・・・?

 

有料の場合には、「0.5ユーロ」とか「1ユーロ」などのようにクロークにわかりやすく

表示がされるので、それを見て判断すれば大丈夫です。

ピッタリの小銭を持っていなくてもおつりをくれます。・・・が、たいていは切り上げて

そのまま置いておくのがチップ習慣のあるヨーロッパではスマートです。

 

(例)0.5ユーロなら1ユーロまたは2ユーロまで切り上げる。1ユーロなら2ユーロなど。

 

クロークのスタッフもそのへんは心得ていて、おつりをそのまま置いてチップですよ、と

意思表示すれば、ニッコリ笑顔になって「ありがとう」と言ってくれます。

 

無料の場合(=金額の表示が無い場合)は、チップを置くかどうか・・・

は、正直悩みどころですが、

私の場合、クロークから少し離れたところにちょっと立って

しばらく眺めるようにしています。

他のお客様がどんなふうにしているか観察し、それを真似るのです。

たいていは、無料ならそのままなにもせずに預ける場合が多い

(つまりチップも置かない)ですが、

鑑賞が終わって荷物を引き取る際に、サッとチップを置く場合もあるので、

こちらも様子を見ながら真似すると良いと思います。

 

座席の位置や場所によってクロークの位置が指定されることもある

 

有料、無料に関わらず、預ける際にチケットを見せるようにと言われることがあります。

比較的大きな劇場になると、前述のとおり1ヶ所だけでなく数ヶ所にクロークが設置される

ことが少なくないので、1ヶ所に集中すると混雑することから、分散して預けてもらいたい

という事情があるためです。

例えば、舞台正面に対して、右側と左側(下手上手のこと)にクロークが分かれる

場合には、チケットに記載されている側で預けるルールになっている劇場もあります。

ウィーン国立歌劇場シートマップ

 

(例)ウィーン国立歌劇場の平土間(parkett)は、Rechts/右側(ピンク)と

Links/左側(グリーン)でクロークもそれぞれに分かれて預けるようになっています。

 

(参考)https://www.wiener-staatsoper.at/fileadmin/Saalplan_gedreht.pdf

 

 

また、ボックス席の場合には、手荷物全般をボックス内に持ち込むことが原則です。

 

(例)イタリアのボローニャ歌劇場。ボックス席は、ボックス内に荷物が置けるようになっており コートをかけるフックもある。(対面のボックス内をみるとコートがかかっている)

 

以上のように、クローク預けるだけでも「どれをどうすればいいのか正直、不安・・・」

ですよね。

でも、そこははるばる日本からやってきたのですから、現地のお客様と同じように

振る舞わなくてもまったく気にする必要はありません。

チケットを持って、クロークのスタッフに「ここで預けられますか?」と訊いて

適宜スタッフのアドバイスに従うのが一番近道です。

 

 

あとは少額の小銭をいつも持ち歩くこと。5ユーロ以上の紙幣になると、

なかなか使い勝手が悪いです。

 

ただ、現代の電子マネーが急速に普及していく中において、こういった少額の小銭の

行く末は・・・。今後どうなっていくのかは気になりますね。

 

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