海外クラシック音楽便り

ショパン国際ピアノコンクールを見に行く4つの方法

2021年8月23日

ショパン国際ピアノコンクールを見に行く4つの方法

5年に一度ワルシャワで開催されるピアノの世界的音楽コンクール。

音楽コンクールとしては、ロシアのモスクワで開催されるチャイコフスキー国際

コンクールや、ベルギーのブリュッセルで開催されるエリザベート王妃国際音楽

コンクールとならび世界3大音楽コンクールなどと言われ、ピアノを学ぶ人にと

っても、ピアノが好きな人にとっても、憧れのコンクールのひとつ。

 前回からコンクールもライブ配信されるようになって、遠くの国に住んでいてもリアルタイムで視聴できるようになったよね 

 でも、あのフィルハーモニーホールでいつかライブで聴いてみたい。見にいく方法はあるの? 

4つの方法とは

  • インターネットでチケットを取る
  • 当日券を狙う
  • チケット手配専門サイトを利用する
  • 日本の旅行会社のツアーに参加する

これまで、ショパン国際ピアノコンクール、チャイコフスキー国際コンクール、

エリザベート王妃国際音楽コンクール、ロン=ティボー・クレスパン国際コンクール

など、数々のコンクールの旅行手配やツアー企画などの仕事を経験してきました。

これらの経験を踏まえて、これから聴きにいきたいと思う人にとって少しでも参考に

なってもらえたら嬉しいなと思います。

私がこれまで訪れた主な劇場・コンサートホール

ミラノ・スカラ座

パリ・オペラ座

ロイヤル・オペラハウス(ロンドン)

ウィーン国立歌劇場

ウィーン楽友協会

ザルツブルク祝祭劇場

バイロイト祝祭劇場

バイエルン国立歌劇場(ミュンヘン)

ベルリン国立歌劇場

ドレスデン国立歌劇場(ゼンパー・オパー)

フェニーチェ歌劇場(ヴェネツィア) など その他はこちらで紹介

インターネットでチケットを取る

 やっぱりいちばん手っ取り早くて、安く手に入るのはインターネット 

 ショパンコンクール公式サイトから専用リンクにジャンプできるよ 

ショパンコンクール公式サイト(https://chopincompetition.pl/en

公式サイトには、コンクール概要のほか、コンテスタント(出場者)の情報、ジュリー(審査員)の情報、コンクールの開催日程などさまざまな情報が載っています。

  

Chopin Competition 2025 official site

Chopin Competition 2025 official site

 

Chopin Competition 2025 official site

Chopin Competition 2025 official site

チケット販売に関する情報もサイトの上部に出ているので見つけやすい。ここから、チケット購入専用サイトに遷移すると、以下のページに飛びます。

(2025年8月追記:コンクール公式サイトやチケット購入サイトは、開催ごとにドメインが変更されることがあり、過去の記事に掲載しているリンクがアクセスできなくなっている場合があります。ご了承ください)
 

チケット購入専用サイト (https://www.ebilet.pl/en/klasyka/koncert/konkurs-chopinowski

英語とポーランド語の2ヶ国語対応。「ショパンコンクール チケット 入手するには」や「ショパンコンクール 見にいく」といったように検索すると、いろいろと過去の体験談などが見つかります)

Chopin Competition 2025 ticket

Chopin Competition 2025 ticket

発売日には世界中からアクセスが集中するようで、「PCがフリーズして大変だった…」なんて話もあるほど。
支払いはもちろんクレジットカードが主流。事前に会員登録を済ませておくと安心です。

サイトはポーランド語がメインですが、英語版も用意されています。英語もそれほど難しくなく、普段からオンラインショップを利用している方であれば、ある程度は直感的に進めていけるでしょう。それでも操作に不安がある場合は、翻訳ツールや生成AIをうまく活用することで、スムーズに進められます。
 
 

当日券を狙う

フィルハーモニーホール

フィルハーモニーホール

コンクール会場(フィルハーモニーホール)入ってすぐのところにあるチケット売り場では、当日の座席に余りがあれば当日券が販売されます。

私も過去二度ほど当日券を買って聴いた経験があります。

1次予選や2次予選の場合、よほど人気あるコンテスタントでなければ、また座席にこだわらない限り、ほぼ確実に聴けると思ってもらってよいと思います。(※)

座席にこだわらない、と書いたのは、当日券=自由席という意味なので、空いている席なら、1階の最前列であろうが、最後列であろうが、バルコニー席だろうが自由に座れる、ということなのですが、ここで気をつけたいのは、仮に気に入った席がラッキーにも空いていたとしても、演奏開始直前に指定席を持っている人が入ってくる場合があるので、そういったことに運悪く遭遇してしまうと、それ以上座ることは残念ながらできません。立ち去るしか選択肢がないので、当日券の場合には通路に出やすい位置で後方に一旦座り、様子を見つつ、休憩時間の合間をみて前方にジリジリ寄っていくことをおすすめします。

あと、この当日券は厳密に人数や枚数がシステムでコントロールされているのではないので、座席が無くなってしまうこともあります。事実、立ち見だった人も過去幾度も見かけました。

ちなみに、当日券といっても3次予選や本選となると、かなり厳しいかもしれません。毎晩チケット売り場には長蛇の列ができていました。 実際にどれだけ入れたのかは不明です。

(※)上記の情報は2010年・2015年時点の体験に基づいています。昨今のコンクール人気の高まりもあり、現在(2025年)はオンライン販売分が予選・本選ともに完売している状況です(2025年8月追記)。

チケット手配専門サイトを利用する

続いては、チケット手配を専門に取り扱っているサイト(オンライン)を使う方法。

私が以前から気になっているのがこちら。(使ったことはないですが…)

ムジーク・ライゼン 海外オペラ・バレエ・クラシックのチケット手配
https://musik-reisen.jp/

日本人が運営しているチケット手配専門サイトなのですが、チケット入手するまでのプロセスや手配にあたっての注意事項なども丁寧に説明されていて、個人的にとても好感がもてます。

調べてみたところ、ショパンコンクールのチケットも取り扱っているようです。
https://musik-reisen.jp/schedule/others/chopin.html

ヨーロッパにはほかにもいろいろなチケット手配専門の業者があって、サイトもいくつか知ってはいるのですが、実は、以前、仕事で大変イタイ目に遭ったことがあったので(コンクールチケットではないですけれども…)、個人的には同じインターネットを使うのなら公式サイトから取られることをおすすめします。そのうちココは!というところが出てきたらご紹介するかもしれません。

日本の旅行会社のツアーに参加する

値段は高いけれども、確実に見に行きたいなら旅行会社のツアーに乗っかるのが一番手っ取り早いです。

3次予選を突破したファイナリストたちが発表されたフィルハーモニーホールのロビー(2015年10月)

値段は高いけれども、確実に見に行きたいなら旅行会社のツアーに乗っかるのが一番手っ取り早いです。

 ワルシャワ以外の街と組み合わせた9〜10日間の周遊ツアーから、3泊5日の鑑賞のみの弾丸ツアーなど色々 

 1次予選から本選まですべて鑑賞するというツアーもあるとか!? 

ライバルは中国や韓国の旅行会社!?

ただ、近年は日本だけでなく、中国や韓国などの手配業者もかなり力を入れてチケットを取ろうという動きが活発化しているので、(コンテスタントが増えているから当然といえば当然)日本の旅行会社もチケット取るのには苦労している模様です。

そんな争奪戦を経て企画されたツアーには、本選や入賞者ガラ・コンサートが組み込まれたツアーも少なくありません。それらは当然人気が集中することから申し込みの段階で抽選となるケースが殆どなので(最近では3次予選も本選と同じく入手しづらい傾向あり)、少しでも可能性を広げるために、複数の旅行会社にかけ持ちして予約を入れるツワモノもいます。

(ちなみに、何らかの予約が確保されたあとは、すみやかに一つの旅行会社に絞ったほうが良いです。航空便やホテルの予約者名が重複していると、航空会社やホテル側のシステム上で自動的に抽出されてしまい、下手するとダブルブッキングと見做されて予約が落とされてしまうことも。複数をかけ持ちする場合にはそのあたりのリスクも自己責任として覚えておいたほうがよいでしょう)

話がちょっと逸れましたが、旅行会社のツアーに申し込んでコンクールを見にいく場合、インターネットで公式サイトから取るよりは、間違いなく確率は上がるため、事前にチケットが確保できるという安心感から、コンクール鑑賞の常連でも旅行会社にはじめから依頼する人も少なくありません。

デメリットは、繰り返しになりますが、値段が高いことと、パッケージで売られることが多いので、融通が効かない、自由にアレンジできない、など幾つか挙げられます。

なぜ、値段が高くなるのか、そして、パッケージで売られることが多いのか?・・・の理由は、このあとお話しします。

旅行会社のツアーの値段が高い理由

旅行会社のツアーの値段の高さの一番の理由は、流通に多くの人が関わっているから、と言えます。

そもそもコンクールのチケットってどのように流通しているのかというと、コンクール概要が発表されたのち、インターネット(公式サイト)に出回るよりもはるか前に、招待枠(スポンサー枠なども含む)など優先して配券され、続いて、音楽関連団体、各国のツアーオペレーターやチケット手配業者などにある程度まとまった数が配券されます。

日本の旅行会社のツアーの場合、ツアーオペレーターやチケット手配業者を介してツアーを企画するケースが多いのですが、彼らの多くは、コンクールのチケットを通し購入といって1次予選から本選まで、団体枠としてまとまった枚数を購入することで、入手困難とされる3次予選や本選のチケットを確実に確保しています。

コンクール主催者側からすれば、黙っていても売れる3次予選や本選よりも、1次予選や2次予選のチケットも売りたい。だから、通し購入をしてくれる彼らの存在はありがたいわけです。日本の旅行会社にとっても、ショパン国際ピアノコンクールは5年に一度の大きなイベントですから、ツアーオペレーターやチケット手配業者とパートナーシップを長い年月をかけて関係を築くためにときには何度も現地に赴いて交渉を重ねることも少なくありません。人が動けばコストもかかる、となるわけです。

単にプラチナチケットをお金だけで売買するような、そんな単純な世界でも無かったりします。彼らは、旅行会社のお目当てのチケット(3次予選や本選)を手配するのと並行して、ホテルや観光ツアーも同時に手配するように促しますし、ポーランドという国、ワルシャワという街をもっと多くの旅行客に知ってほしいという純粋な想いを持っています。そういった様々な想いがパッケージというスタイルとなって、博物館や生家見学とともに、まとまったかたちで提供されるわけです。

例えとして適切かどうかは少々微妙ですが、ワールドカップやオリンピックといった大イベントには、そこに関わる産業すべてが影響を受けます。つまり、ホテルや観光産業にとっても大きなビジネスチャンスであるのですね。ですから、例えば旅行会社が手配するホテル代はインターネットで個人客が手配する代金より高めに設定されていることも、一方からみれば「ふっかけて」と思われるかもしれませんが、もう一方から見ればホテルにとって「商機を逃さないための価格設定」と考えることもできるということです。

まとめ

ショパン国際ピアノコンクールを見に行く4つの方法

※以下は2021年当時の記事です(2025年8月追記あり)
ショパン国際ピアノコンクールを見に行く4つの方法、いかがでしたか?

私が旅行の仕事で関わっていることから、特に後半になるにつれて熱さが出てしまったかもしれませんが、様々な選択肢があるんですよ、ということを理解してもらった上で、最善策を選んでもらうのが一番だと思います。

2020年から延期になった2021年のコンクール開催は、新型コロナウィルス感染症影響が懸念されてはいるものの、今のところ有観客で実施されると発表されています。7月に実施された予備予選も有観客でやっていましたから、順調にいけば有観客であのフィルハーモニーホールで開催されるでしょう。

残念ながら、日本には2021年8月現在も帰国時の14日間自宅待機という厳しい条件が義務付けられており、外務省から発出されている感染症危険レベルもヨーロッパ全土が昨年からレベル3が継続されたまま。ですので、多くの旅行会社は海外ツアーを断念せざるを得なくなってしまいました。

したがって、インターネットであれ、チケットサイトであれ、個人でどうにかして手配をし、陰性証明書や14日間待機、ワクチンパスポートなどの様々な条件をクリアできる人だけが現地で聴くことができるかもしれません。

私も、今回はワルシャワに行けそうにありませんので、日本でライブ・ストリーミングを楽しみに聴こうと思っています。

※【2025年8月追記】

現在は、コロナ禍による渡航制限も解除され、2025年のショパン・コンクールは例年通り有観客での開催が予定されています。

ただし、ここ数回の盛り上がりを受けて人気がますます高まり、予選・本選ともにオンライン販売分はすでに完売となっています。
当日券についても「入手できたらラッキー」というくらいの状況で、現地での鑑賞にはかなりの準備と運が必要かもしれません。もう一つの方法としては、日本の旅行会社が企画する鑑賞ツアーにキャンセル待ちをかけておくという手もあります。
 
その一方で、ショパン・インスティチュートによるライブ・ストリーミング配信も年々充実しており、日本からでも臨場感ある演奏をリアルタイムで楽しむことができます。現地に行けなくても、自宅にいながら世界中の音楽ファンと熱気を共有できるのは、今ならではの楽しみ方かもしれません。

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