イザベル・ファウスト J.S.バッハ《無伴奏ヴァイオリン・ソナタとパルティータ》全曲演奏会
11/17[水]19:00〜
J.S.バッハ
《無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第1番 ト短調 BWV1001》
《無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第1番 ロ短調 BWV1002》
《無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第3番 ハ長調 BWV1005》
11/18[木]19:00〜
J.S.バッハ
《無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第3番 ホ長調 BWV1006》
《無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第2番 イ短調 BWV1003》
《無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番 ニ短調 BWV1004》
今回聴いたのは、赤枠の11月17日の公演のみ
東京オペラシティのコンサートホール(およそ1600席強)、それもヴァイオリンのソロ・コンサートでほぼ客席を埋める女性ヴァイオリニストと言えば、イザベル・ファウスト、アンネ=ゾフィー・ムターあたりがパッと思い浮かぶ。
もう少し若手なら、ヒラリーハーン、ジャニーヌ・ヤンセン、ユリア・フィッシャーあたりもいけるだろうか・・・? ただ、そもそもヴァイオリン・ソロでの公演自体が少ないため(ピアノやチェロとのデュオやトリオが多い)いささか自信が無い。
とにかく、ほぼ満席となったオペラシティのコンサートホールで、ソロ・ヴァイオリンのそれもバッハの無伴奏が聴ける。
それも現代最高と言われるヴァイオリニスト、イザベル・ファウストとなれば期待に胸が膨らむプログラムだ。
残念ながら2日連続で聴けなかったのは痛恨の極み。2日目にどうしても動かせない先約があり、大好きなパルティータ第2番は泣く泣く諦めたが、1日目を聴いてますますその気持ちは強まる一方だった。
コロナの終息がまだ見えない不安定なこの現代だからこそ、バッハの音楽を求める聴衆のエネルギーは計り知れない。
「静謐」かつ「泰平」の世界に導いてくれるような「祈り」の音楽。
一音一音が天から舞い降りてくるの一筋の声(囁き)のように、ファウストのヴァイオリンを通してあの広いホールのてっぺんから(おそらく)3階席の後方まで、バッハの旋律が響いたことと思う。バッハのそれも無伴奏ヴァイオリンなんて、そもそもこんな広いホールで演奏するような曲ではない、ということを忘れてしまいそうだ。
奏者はどこまで力を入れれば、ホールの端から端まで音が届くのか常に気をつけなければならないが、彼女ほどの優れたヴァイオリニストはそこも十分計算し尽くしているだろう。休憩無しでおよそ1時間半弱、アンコール曲は1曲のみ。想像絶するほどの集中力としか言いようがない。
個人的にはバッハも活躍したドイツの小さな町、ケーテンで2年に一度開かれるバッハのための音楽祭、それも聖アグヌス教会や聖ヤコブ教会、ケーテン城の大広間「鏡の間」といった空間で生涯に一度でも聴けたら最高だろうな、といつも思う。(鏡の間はしばらく前から音楽祭では使われなくなっており、最近ではバッハホールというかなり広めの=といっても室内楽用の規模のホールではあるが、で演奏されることが多い)
ちなみに、次のケーテンのバッハ音楽祭は2022年の夏に開催される予定。
Köthener Bachfesttage(ドイツ語)2022年8月28日〜9月4日まで