新国立劇場 2020/2021シーズン《フィガロの結婚》2/14 昼公演
1月のコンサート形式《サムソンとデリラ》以来、オペラは久々。
昨秋以降、海外のオペラ歌手も少しずつ来日できるようになってきた矢先の
新年始まってすぐの入国制限措置。
フィガロ役と伯爵夫人役の2人(モラーチェとガンベローニ)来日できず、
急遽、1月にトスカにスカルピア役で出演していたソラーリがフィガロを、
伯爵夫人を大隅智佳子さんが出演することを除けば、痛手はあったとはいえ、
少なくて済んだほうかもしれない。
イタリアから無事帰国した脇園彩さん、既に入国していたプリアンテなど、
キャスト布陣としては奇跡的に調整ができたのだと思う。
限られたリハーサル、徹底した感染対策など、
細部にまで気を配らなければならないオペラ公演。
こうして公演自体を実現できることが、いかに大変なことなのか改めて思う。
さて、この日は千秋楽。
沼尻さんの指揮、リリカルな音色に優しさと気品さが加わった東響の演奏。
個人的には、その音楽性と存在感で圧倒されたのが、イタリアで活躍中の脇園彩さん。
情熱的で多感な思春期を見事に表現したケルビーノ。
唯一、少々物足りなさを感じたところがあるとすれば、第4幕の最後のフィナーレ。
オケ、指揮、歌手のバランスからか、
千秋楽で力尽きてしまったのか? さらっと終わってしまって、
うーん、もう少し欲しかった感は
ありましたけど、実は、《フィガロの結婚》って、モーツァルトの天才的な
アンサンブルの美しさが故に、ほぼ確実に毎回眠気で「落ちる」んです。
でも、今回は何故か「落ちる」ことが無くて、不思議だなあと思っていたのですが、
久々のオペラに感激したからか、この舞台を作り上げるまでのスタッフ、キャスト、オケの
並々ならぬ想いが伝わってきたからか、もうちょっと考えめぐらしてみようかな。
そうそう、《フィガロの結婚》が初演された、ウィーンのブルク劇場については、
また、別の機会に書いてみたいと思います。