これは、念願というよりも執念というべきか。
海外からの来日公演が軒並みキャンセルされる中で、公演日の直前までどうなるか判らなかった
ウィーン・フィルの来日コンサート。
クラシックのイチ音楽ファンとしては、嬉しい気持ちでいっぱいであるものの、
この公演の実現のために、費やされた時間と労力、外交的政治的な駆け引きを考えると、
ウィーン・フィルだから実現できたのであって、他の来日アーティストは? 国内の公演は?
という少々複雑な気持ちになる。
ウィーン・フィルにとっても、拠点であるウィーンでの公演はスタートしていたものの、
活動していく上で、重要な資金源である海外ツアーが無くなることによる
財政的打撃は計り知れないと言われていただけに、
この来日コンサートについては、是非ものであったことは間違いない。
事実、通常アジアツアーといえば、日本のみならず中国、台湾などでも公演していたはずが、
今回は「日本」だけ。
ここ数年、ウィーン・フィルだけに限らず、ベルリン・フィルなど多くの来日桶は以前に比べて、
日本での公演実績よりも、中国や台湾にその軸足があったように感じられるが、
今回のウィーン・フィルの来日公演は、その点において、日本におけるクラシック音楽ファンが
確実にいる、ということ。日本で公演をやれば、期待しうるリターン(利益)を得られる、という
確証があったのだと思う。
それを支える多くの協力者(聴衆)の存在を忘れてはいけない。
果たして、このジャパン・ウィーク以後のウィーン・フィルはどうなるのだろうか?
12月上旬まで発動された、オーストリアにおけるロックダウン。イベントも
すべて中止となる中で、いよいよ、1月1日のウィーン・ニューイヤー・コンサートまで
秒読みとなる。